最近では、訪問看護ステーションが開設しては、閉鎖してを繰り返しているようです。
ケアマネさんの中には、訪問看護ステーションを利用する際に「新規の訪問看護ステーションができたけど、新しいところに頼んでも大丈夫」とか「知らないところに頼むのはちょっと」など不安がある方もおられるのではないかと思います。
私も5年ほど前に会社を立ち上げ、1から訪問看護ステーションを開設した経験があります。
開設した頃には、なかなか利用者が増えず、後になって、ケアマネさんからいろいろ言われ、勘違いをされている方も多いことを知りました。
今回はケアマネさんに向けて、訪問看護ステーションの選び方と注意するポイントについて説明をしたいと思います。
よくある疑問としては
- 訪問看護ステーションごとでサービスの内容は違うのか
- 利用者によって、訪問看護ステーションを利用ができる場合とできない場合があるのはなぜ
- 訪問看護ステーションによって料金が違うのはなぜ
- 新規の訪問看護ステーションはダメなの
- 訪問看護ステーションは変更をしても良いの
などがあります。
それぞれのポイントについて説明をしていこうと思います。
これを読めば、今まで訪問看護ステーション利用時に抱えていた疑問が解消できると思います。
訪問看護ステーションごとでサービスの内容は違うのか
先に結論を言うと、訪問看護ステーションにごとで提供できるサービスの違いはありません。
しかし、訪問看護師の経験によって、できることできないことがあると思います。
一概に看護と言っても、小児から高齢者、婦人科、眼科、不尿器科など各科によって、看護の知識も経験もバラバラになりますので、得意、不得意は多少あると思います。
しかし、どこの訪問看護でも、相談すれば、できるできないは、はっきりと答えてくれますし、とりあえずはできる範囲で一生懸命看護してくれると思います。
なのでサービスの内容に違いはありません。
先ほど、サービスの内容について違いはないと言いましたが、実はサービス以外の部分では、訪問看護ステーションによって、少し違いがある部分もあります。
訪問看護ステーションによって、提供できないケースもありますので、それについて説明します。
利用者によって、訪問看護ステーションを利用できる場合とできない場合があるのはなぜ
利用者によって、訪問看護ステーションを利用できる場合とできない場合があるのには理由があります。
結論から言いますと、公的制度や訪問看護の種類によっては事前に訪問看護ステーションが申請をしていないと利用できない制度や訪問があるからです。
事前申請が必要なケースについては
- 難病助成制度
- 原爆被爆者の助成制度
- 自立支援医療費(更生・育成)
- 精神科訪問看護 自立支援医療費(精神通院医療)
- 生活保護受給者
他にもあると思いますが、主なものとしては以上のものがあります。
1.難病助成制度
指定難病の診断を受けており、事前に申請をすることにより、利用できる助成制度になります。
申請をすることにより、入院と通院を合わせて、月にいくらという限度額の適応になります。
限度額の適応としては、その病名で通院している病院、薬局、訪問看護が適応になります。
訪問看護ステーションも事前に申請をしておかないと、適応の病名で指示書が出ていても、限度額の適応になりませんので気をつけてください。
2.原爆被爆者の助成制度
こちらも難病同様に利用者、訪問看護事業所共に事前の申請が必要になります。
難病助成制度との違いは介護保険での訪問看護の場合にも適応される制度になります。
3.自立支援医療費(更生・育成)
こちらも同様に利用者、訪問看護事業所ともに事前の申請が必要になります。
育成医療などは特に小児の腹膜透析などで適応となることがあります。
4.精神科訪問看護 自立支援医療費(精神通院医療)
自立支援医療費(精神科通院医療)については、今までのものと同じように利用者、訪問看護ステーションともに申請が必要になります。
今までのものと違うのは、精神科の訪問自体の算定についても、訪問看護ステーションの申請が必要ということです。
精神科訪問看護基本療養費算定のため研修を受講し、修了しているか、もしくは精神科看護の経験が1年以上ないとそもそも精神科訪問看護基本療養費の算定ができません。
つまり、精神科訪問看護指示書では、訪問ができないということになります。
自立支援医療の申請をしても、そもそも精神科の訪問看護ができないのであれば意味がないので、ここは事前に確認の必要があると思います。
5.生活保護受給者
最近では、生活保護を受給している方も増えているように感じます。
生活保護に関しては、訪問看護ステーションが事前に申請をしておく必要があります。
私の事業所のある地域では、医療保険と介護保険とで申請が必要でしたのでしっかり確認をしておく方が良いと思います。
医療保険の場合は、ご本人やご家族、訪問看護の事業所などから市役所などへ連絡して、医療券を出してもうようになります。介護保険の場合は、ケアマネさんがケアプランを提出することにより、介護券が出るようになります。
医療券、介護券が出ないと請求ができませんので、必ず手続きをするようにしましょう。
以上、1から5について説明しました。
利用者、事業所ともに申請をしていないと本来受けれるはずの助成制度が受けれないということになりますので、サービス前にしっかりこの辺りについては確認をしておいた方が良いと思います。
訪問看護ステーションによって、料金が違うのはなぜ
訪問看護は医療保険や介護保険を利用して、サービスを受けるようになるのですが、中には保険では決められておらず、各事業所で決めている料金があります。
その場合は、各事業所で料金を請求しても良いし、請求しなくても良いようになっています
その料金によっては利用者負担が大きく違ってきます。
各事業所で決めている料金
- 交通費
- 休日訪問料
- エンゼルケア料
- キャンセル料
などがあります。
先ほども書きましたが、この料金は請求しても良いし、請求しなくても良いので事業所によって、全然違います。
この部分の確認はしっかりしておく方が良いと思います。
ちなみに交通費に関しては、私の事業所では頂いていませんが、医療保険では近くからでも距離に応じて、請求していることが多いです。
介護保険の場合は、事業所の運営規定に訪問エリアを記載しているので、そのエリア外の訪問であれば、交通費を請求しても良いとなっています。
そのため、遠くの事業所にお願いする場合は、介護保険でも確認をした方が良いと思います。
新規の訪問看護ステーションはダメなのか
結論から言いますと、ダメではないです。
確かに経験不足だと、加算などはっきり分からなかったり、制度のことで分からないことがあるかもしれません。
しかし、はじめから何でもきちんとできる人や事業所はありませんので、そこは訪問看護を育てる気持ちで利用してもらえれば、訪問看護ステーションはどんどん育ってきます。
新規の訪問看護の良いところについて、何点かあげておきます。
- 利用者が少ないので、一生懸命してくれる
- 時間に余裕があるので、頻回な訪問や長時間の訪問にも対応してくれる
- 利用者を大切にしてくれるので、困難事例の対応もしてくれる
- 相談しやすい(言いたいことが言いやすい)
などがあります。
歴史のある訪問看護ステーションも経験が豊富というところでは、良いところがたくさんあると思いますが、すでに、ある程度の人数の利用者がいる場合は、頻回な訪問や長時間の訪問はなかなか対応できないことが多いです。
また、頻回に緊急連絡がある場合なども、対応できないことが多いと思いますが、新規の訪問看護ステーションであれば、時間に余裕があるので快く引き受けてくれると思います。
ケアマネさんの中には、特に介護職出身の方は看護師が苦手という声もよく聞きます。
そのようなケアマネさんにとっても、新規の訪問看護ステーションには希望が言いやすいように思います。
新規のうちにしっかり関係を作っておけば、その後も同じように相談しやすい関係を継続していけるのと思います。
訪問看護ステーションは変更しても良いのか
訪問看護ステーションの変更はできます。
しかし、理由もはっきりしないのにステーションを変更したりすると困ります。
きちんとした理由があり、利用者の希望であれば、変更を伝えても特に何かを言われることはないのではないかと思います。
できれば、すぐに変更するのではなく、事前に状況を伝えて、訪問看護ステーションに改善する機会を与えてもらえれば嬉しいです。
訪問看護ステーションとしても、サービスの見直しや、振り返りができるので、今後の成長の糧にできます。
それでもダメな場合は変更すれば良いと思います。
訪問看護ステーション側も利用者との関係を改善しようと努力したけど、改善できないケースもあります。
お互い人間ですので相性もあります。
そのような場合は、一度リセットして、新たな訪問看護ステーションでサービスを開始する方が、スムーズにいくことがあるのではないでしょうか。
まとめ
今回はケアマネさんに向けて、訪問看護ステーションを選ぶ際のポイントと注意点について説明しました。
私としては、新規開設の時に本当に大変な思いをしましたので、ぜひ、新規の訪問看護ステーションは積極的に利用してみてもらいたいと思っています。
利用してみて、はじめはダメだと思っても、訪問看護ステーションを育てるという意味で、温かく見守って頂ければ、新規のステーションはやる気もあるのでどんどん成長していくのではないかと思っています。
在宅で生活する以上、今後も訪問看護のニーズは高まっていくのではないかと感じています。
すでに訪問看護の利用を積極的にしているというケアマネさんもいると思います。
しかし、訪問看護の利用は少し気が進まないと思っているケアマネさんは、ぜひ、地域で生活をする方を支えるチームの一員として、訪問看護の利用を検討してみてください。
それでは今回もありがとうございました。