訪問看護の日常

訪問看護新規利用者の依頼から契約までの流れについて説明します

今回は訪問看護ステーション開設後、新規の依頼があったときの流れについて説明します。

訪問看護ステーションを開設して新規の依頼は来たけど、契約までの流れが分からということはありませんか。

私は、訪問看護ステーションを開設し、管理者をしていますが、ほぼ未経験の状態で訪問看護ステーションを開設したので初めての新規依頼の時にはどのように対応して良いのかわかりませんでした。

今回の記事を読んでもらえれば、初回の訪問までスムーズに行えるようになりますので最後まで読んでみてください。

 

新規の依頼から初回訪問までの流れについてこのような流れになります。

  1. 新規依頼の連絡をもらい、新規の方の簡単な情報をもらう
  2. フェースシートなどの情報をもらい、訪問が可能か検討する
  3. 訪問が可能と判断できれば、顔合わせを行う
  4. 入院中であれば退院前カンファレンスにて情報共有
  5. 利用者に訪問の了解を得て、主治医へ指示書の依頼
  6. 指示書が到着後、指示内容を確認
  7. 介護保険であれば担当者会議
  8. 退院前カンファレンス、担当者会議で契約ができていなければ契約

多少順番が前後することもあります。

それぞれの流れについて説明していきたいと思います。

もうすでに依頼から契約までに迷うことがない方もステーションによって、流れが違う場合もありますので読んでみてください。

 

新規依頼連絡時の対応と注意点

新規の依頼は電話であることが多いです。

電話の流れとしては、事業所の空き状況を確認され、空きがあれば状態を簡単に伝えてもらい、受けれるかどうかの確認になります。

 

電話の時点で確認をしておいた方が良いことについて書いておきます。

  • 主治医
  • 疾患名と現在の状態
  • 家族の状況
  • 予定している訪問頻度と曜日と時間
  • 計画している訪問内容
  • 使用している機器(レスピレーターや酸素、吸引など)
  • 医療保険か介護保険か
  • 公費の申請はしているか

 

この時に電話先の事業所名と担当者の名前はきちんと確認をしておきましょう。

電話での情報をもとに、訪問看護を受けれるということであれば、より詳しい利用者情報をFAXや郵送などで送ってもらい、再度検討するという流れになります。

 

利用者情報を確認してから訪問が可能か検討

利用者情報をもらってみると電話での情報と違うということは少なくありません。

現病歴や既往歴の確認からはじまり、家族構成やキーパーソンの確認。現在利用しているサービス。精神状態や認知機能の状態などしっかり確認が必要です。

主治医については電話でも確認をしていますが、病気が複数あり、それぞれ違う病院へ通われている場合などがあります。

主治医が複数いる場合、公費制度を利用しているのであれば、その疾患で罹っている主治医に指示をもらわないと公費制度の利用ができない場合もあります。また、医療保険でも介護保険でも訪問ができる可能性がある場合もありますので、その辺りも考えながらどの先生に指示をもらうのかを決めていきましょう。

細かいところまで目を通して、訪問看護依頼を引き受けることができると判断すれば、ケアマネに引き受けることを連絡しましょう。

 

顔合わせ時の対応と注意点

顔合わせに関しては、カンファレンスや担当者会議と一緒になることもあります。

訪問看護利用開始までの期間や状況によって違います。

初めての挨拶になりますので、しっかり情報収集をおこなってから挨拶するようにしましょう。

ケアマネが一緒に来てくれるのですが、何も言わず、見ているだけというケースもあります。そのような時には「はじめまして」の挨拶から自分で行うようになります。

ケアマネが仲介してくれない場合も想定して対応を考えておくのが良いです。

 

退院前カンファレンスについて

退院前カンファレンスとは、現在入院中で退院予定の方が、入院生活から在宅生活への移行をスムーズに行うため、入院時の状態共有と退院後の生活やサービスについての確認と情報共有を行うための会議になります。

 

参加者としては

  • 入院中の主治医、相談員、看護師、リハビリ担当スタッフ(PT、OT、STなど)
  • 退院してからの主治医
  • 各サービス(居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、通所リハビリ、福祉用具、訪問看護など)
  • 本人、家族

などで行われます。

 

内容についても書いておきます。

  • 自己紹介
  • 主治医から現在の病状についての説明
  • 病棟看護師から現在の生活状況についての説明
  • 入院中のリハビリスタッフから歩行や動作、嚥下などについての説明。
  • 在宅医や在宅関係者からの質問
  • 本人や家族からの質問や希望の確認

会議の中で確認をしておいた方が良いこととしては、在宅医が夜間や休日に対応できるのかどうか、対応の可否によっては退院する病院で対応をお願いすることもあります。

在宅で生活していると休日や夜間に主治医と連絡が取れないのが困るのでしっかり確認をしておきましょう。

内服薬については管理に不安のある場合は服薬回数や服薬方法の検討を行っておくと良いです。

他のことにも言えることですが、入院中から練習してもらい、できるだけ退院してからはじめて行うことを減らして退院してもらう方が良いです。

退院前カンファレンスの後に、そのまま担当者会議をする場合もあります。介護保険を利用する場合は、ほとんどがそのパターンになります。

退院前カンファレンスで状態の確認や退院後のサービスの確認はできていますので、担当者会議では提供票や介護サービス計画書を見ながら本人や家族のニーズを再確認するようになります。

その後、契約をすることが多いですが、時間の都合でそこまでできなければ後日の契約ということになります。

退院時共同指導加算の注意点

 

退院前カンファレンスを行うと退院時共同指導加算が算定できます。

指導内容を文章にして、本人や家族に同意を頂くようになりますので、あらかじめ様式を準備して会議の内容を記載するようにしてください。

この会議の内容で退院時共同指導加算を算定するには、翌月末までに退院する必要があります。翌月末以降に退院する場合は算定ができませんので注意してください。

退院時共同指導加算は医療保険でも介護保険でも算定できるのですが、介護保険の場合は初回加算と一緒には算定できませんのでどちらかの算定になります。

2ヶ所の訪問看護ステーションがサービスに入っている場合は1つのステーションが退院時共同指導加算で、もう1つのステーションが初回加算になります。

退院時共同指導加算は2つの事業所で同時に算定することはできませんので注意をしてください。

准看護師は退院時共同指導加算を算定できませんので加算を算定したいのであれば看護師がカンファレンスに参加するようにしてください。

 

主治医へ指示書を依頼するときの方法は?

退院前カンファレンスか、もしくは顔合わせが終わり、利用者も利用することに同意すれば、主治医に指示書の依頼をするようになります。

指示書依頼については指示書依頼書を作成し、依頼します。

 

指示書依頼書に記入する内容について書いておきます。

  • 依頼先の施設名
  • 主治医氏名
  • 利用者の名前(ふりがな)、性別、住所、生年月日、
  • 訪問開始予定日、
  • リハビリの場合はリハビリの時間と回数と職種(PT、OT、ST)の記載が必要になります。
    (2022年2月現在はリハビリの頻度と回数と職種は介護保険でリハビリを利用者する場合のみです。)

 

依頼する際の提出物の内容としては、指示書依頼書、指示書(依頼する利用者の名前と住所、生年月日、連絡先のみ記入)、返信用封筒になります。

返信用封筒を付けて依頼することにより、郵送先を間違えるというリスクもなくなりますし、次回依頼する際にも依頼しやすくなります。

 

指示書の確認点と注意点

指示書の依頼が済めば、指示書が出るのを待ちましょう。

くれぐれも気をつけてほしいのが、指示書を確認する前に訪問を開始しないこと。

訪問開始を急ぐ場合は、指示書の依頼先へ連絡し、作成ができている場合はFAXを送ってもらうなどして、指示内容を確認してから訪問を開始するようにしましょう。

 

指示書を確認する際には何点か注意点がありますので注意点について書いておきます。

  • 指示期間が6ヶ月を超えている
  • 記入日が指示期間開始日より後になっている
  • 記載内容(利用者の名前、住所など)の間違いがないか
  • リハビリの場合はリハビリの時間、回数、職種の記載があるか
  • 計画にない指示が出ていないか
  • 宛先の事業所名が間違っていないか
  • 公費を使用する場合適応になる疾患名が入っているか
  • 別表第7に掲げる疾病等の利用者の場合はその疾患名が入っているか
  • 指示書の種類は間違っていないか
  • 特別指示書が出る場合は訪問看護指示書も一緒に出ているか

 

指示期間は最長が6ヶ月になります。それを超えての指示は出せません。時々、指示期間の記入がない場合がありますが、指示期間の記載がない場合は、1ヶ月が指示期間となっています。

記入日が指示開始日より後になっていたケースもありましたので注意をしてください。

基本的に指示書に記載のある住所以外への訪問はできません。指示書の住所が間違っている場合は書き直してもらう必要があります。

よくあるのがケアマネの居宅サービス計画書と先生の指示内容が違うという場合です。それぞれの内容に違いがある場合には、ケアマネに連絡して、指示書の計画を入れてもらうか、先生に説明して指示の変更を相談するようになります。ただし、指示を出すのは先生ですので先生が必要と言われれば、居宅サービス計画を変更してもらうようになります。

計画の調整は細かいことになりますが、実地指導で指導されましたので注意した方が良いです。

複数の事業所に指示書を出している場合は宛名が間違っている場合があります。

疾患名もしっかり確認をしてください。使用したい公費制度や医療保険で訪問をしたい場合は特に注意してください。その病名が入っていないと適応になりません。

精神科訪問看護指示書の場合は、認知症名がメインの疾患になってしまうと精神科訪問看護指示書ではなく、訪問看護指示書になります。

介護保険の認定を受けている場合は精神科訪問看護指示書での訪問は医療保険になりますが、訪問看護指示書での訪問は介護保険になりますので注意をしてください。

退院直後や急性増悪の場合は特別指示書が出る場合がありますが、特別指示書は訪問看護指示書の上に出るものなので訪問看護指示書も必要になります。

また特別指示書で注意が必要なのは、急性増悪の場合などは先生が診察をした日からの指示になります。先生が診察もしていないのに急性増悪を理由に特別指示書は出せませんので注意をしてください。

担当者会議の流れと注意点

退院前のカンファレンスがある場合は、担当者会議も一緒にしてしまうこともあります。

入院していない場合には担当者会議を行うようになります。

担当者会議の司会はケアマネが行いますので、その指示に従って意見を求められたら答えれば良いです。

必要な確認事項については、担当者会議で確認をしておくと良いです。

やむおえない理由で参加できない時には照会を事前に準備して提出するようになります。

照会を記載する際に注意が必要なのは担当者会議の目的がある場合は、目的についてどうかを記載しなければいけないということです。

状態だけを書いている照会も見ますのでその点には注意してください。

参加するにしても、照会を提出するにしても自事業所の加算についてはしっかり伝えておきましょう。

場合によっては単位数が変わり、自費分が発生するような状況になれば、プランの作り直しになります。

 

契約時の注意点

契約時の注意点としては、しっかり理解をしてもらえるまで説明をしておくということです。

契約書は利用者用と事業所用を作成するようになります。

両方に必要事項の記載が必要になります。(事業所によって、捺印が必要な場合もある。)

契約の時にはスムーズに進んでも、理解できていない場合には、後々トラブルになるケースもあります。

特にお金が絡むことについてはしっかり説明をしておくほうが良いです。

 

契約時にお金が関係する内容について書いておきます。

  • キャンセル料
  • 休日訪問料
  • 交通費
  • 加算関係

 

キャンセル料や休日訪問料や交通費については、請求する事業所も、しない事業所もありますので運営規定をしっかり確認しておいてください。

加算関係はどこの事業所でも多かれ少なかれ請求するようになります。請求の可能性があるものに関してはラインを引くなどして、後で説明をしていることがわかるようにしておく方が良いです。

個人情報保護の同意書にもサインを頂くようになりますが、個人情報保護の同意書は家族の同意も必要になりますので注意をしてください。

保険証や公費受給者証などの確認も行っておいてください。

場合によっては事前にもらっていた情報と違う公費受給者証が出てきたり、期限が切れていたりする場合もありますのでしっかり確認をしてください。

契約の際にいつが初回訪問になるのか伝えるようになります。

先生の指示や準備の関係で初回の訪問日や時間がわからない場合には、指示書が届き次第連絡することを伝えておけば良いです。

 

まとめ

今回は新規利用者の依頼から契約までの流れについて説明しました。

新規の事業所であれば、この流れで訪問開始できます。

すでに事業を開始されている方から見ると、少し自分の事業所と違う所があるかもしれません。

開設して慣れてくれば、それぞれのやりやすい方法が出てきますので、今回の内容は開設直後の参考にしてください。

途中に何点か大切な注意点を入れています。

注意点は押さえておかないと実地指導で指導を受けます。

実地指導は地域差があるかもしれませんが、私の地域では、必ず新規開設の場合は1年以内に来るようになっています。

実地指導も確認と指導をしてもらい、改善すれば特に問題もありません。早めに来てもらえれば改善が早くできますので良いです。

指導は素直に聞いて改善するようにしましょう。

それでは今回の内容も参考になれば、嬉しいです。

今回もありがとうございました。