訪問看護の日常

経験や性格を考慮して訪問看護ステーションを選ぼうという話

最近では、新卒で訪問看護に就職した看護師で特集が組まれていたりします。どのタイミングでどこに就職しようがその人の自由なのですが、レアケースだから特集が組まれているということについては考えておく必要があります。

最近では私の事業所にも若い看護師が面接に来てくれることが増えています。
訪問看護はスタッフの高齢化も問題になっていることが多いのですので若い看護師が面接に来てくれるのは喜ばしいことです。
若い看護師が訪問看護に就職することについて反対はしませんが、就職する先についてはしっかり考える必要があると感じていますのでその理由について書いていこうと思います。

十分な経験がないと思うのであれば職員数の多い事業所にしよう

まず十分な経験について考えてみましょう。
これについては年齢や年数だけではないです。看護経験の種類や役割によっても違いあると思いますし、本人の性格や今までの立場などによっても違うと思います。結局は自分で経験があると思うのか、事業所から見て経験があると判断できるのかが大切になります。

看護師としてではなく、訪問看護師として看護業務をする上で経験が不足していると感じるのであれば、スタッフが多い事業所を選択するのが良いです。
単純に利用者の数が多いので経験できるケースが増える。スタッフの数が多いということは他のスタッフの目が比較的たくさんあるので間違った対応をしている時に気がついてもらえる可能性が高いなどがあります。

それ以外では関係医療機関に比較的大きな総合病院があると良いと思います。そうなればその病院関係の利用者が多いので相談や連携がしやすいこと。比較的医療ニーズの高い利用者が多いので色々経験ができることがあります。

病院で看たことがあるケースでも在宅だと処置や対応が全く変わってくるケースもあります。そのため同じ疾患でも在宅看護を経験できるのはとてもプラスになります。

このような理由で、看護経験に不安があるのであれば、ある程度の規模がある訪問看護ステーションから調整してみるのが良いのではないかと考えます。

性格などその人の特徴も大切

訪問看護は考え方や看護師として役割が病院の看護と違う場合があります。そのような時に対応できるのかどうか、対応できないのであれば相談できるのかどうかが大切になります。

具体的にいうと医者がいない状況で判断しないといけない状況があり、最悪はその状態の変化に気が付かないということ。気がついたとして対応しない、またはできないのであれば訪問看護では対応が難しいと判断できます。

中には経験は十分あるのに医者がいないと判断ができず、その場で動けなくなってしまう看護師もいます。そのような看護師は経験は十分あり、知識や技術もあるのに動けなくなるのです。これは病院の経験が長い看護師に多いように感じます。

家族への対応も必要なので一般常識や社会性も必要

この問題は特に年齢が若い看護師に不足している場合が多いように感じますが、ある程度年齢を重ねて、結婚して、家族などがあれば嫌でも地域での関わりなどが必要になります。
そうなれば自然にある程度の社会性は身についていきます。しかし、学校を卒業してそれほど時間が経っていない場合は、その辺りの経験が不足していることがあります。不足していることにより家族や本人とトラブルになるケースもあります。
また他の事業所とトラブルになることもあります。
在宅では全く自分の事業所と関係のない事業所と連携して、利用者の生活を支えていくようになります。そのため、相手の立場や相手の職種でどのようなことを考えているかなど想像することが必要な場合もあります。いわゆる察する力が必要ということです。
もちろん若い看護師が全員トラブルになるという訳ではありません。若くても自分よりよっぽどしっかりしていると感じる看護師も多くいます。

医療機関で長く勤務してから訪問看護に就職する方で時々感じることとしては、病院などの医療機関で勤務をしていると気がつきにくいのですが病院という環境は世間一般と少し違う場合があります。これは病院という環境を抜け出して初めてわかるのですがこれにより訪問看護を始めると自分が一般的ではなかったと気がつくことも多々あります。
医療機関で勤務している看護師としては当たり前のことでも、世間ではそうではないことがありますので注意が必要です。

病院は接遇について色々言われるようになっていますが基本的には患者が自分から治療に来ます。そのため少々の無理でも治療に必要なことを説明すれば聞いてくれることが多いです。しかし、在宅はそのようなことはありません。治療の場ではなく、生活の場になります。利用者がしたくないことはしません。
そのため病院の感覚で説明や説得をすると怒る利用者もいます。看護師の中には生活の中に入ることにより感情移入してしまって、家族や本人への対応について看護師という立場を超えて説明をしたり、自分の考えを伝えたりすることがあります。
また訪問看護事業所の方針も確認せずに自分の判断で行動してしまう看護師などいます。
1人で行動することが多い訪問看護にとって判断が必要な場面もありますが、事業所の方針などを無視されると困ります。
この辺りは性格や経験もありますが人生経験や訪問看護経験を積むことで判断できるようになってくると思います。

まとめ

今回はあくまで私の経験をもとに訪問看護へ就職する際に看護師の経験や性格によって、気をつけた方が良いことについて書いてみました。皆がそのように感じている訳ではないと思いますし、全ての看護師が今回書いた記事に当てはまるとも思っていませんが事業所を選ぶ際の参考に少しでもなれば良いと思います。
訪問看護は病院系列の事業所もあれば、個人で立ち上げている事業所もあります。対象を絞って、精神科を専門に対応している事業所や小児を対象にしている事業所など様々です。自分の経験やこれからやりたい看護などが決まっているのであればそれにあった事業所を選択するのが良いし、決まっていないのであればできるだけ利用者の多い事業所を選択するのが良いと思います。看護師は転職の多い職業ですが、できれば長く勤務して慣れた環境でスキルを磨き、知識をつけていくのが無駄に精神を疲弊せずに自分を高めていけるのではないかと考えます。

今回は利用者の多い事業所が良いというような内容になりましたがもちろん小規模の事業所にも良い面はたくさんあると思います。
就職は自分の看護人生の転期になりますので慎重に選んでください。

今回もありがとうございました。