今回は訪問看護事業所で勤務をした時に「迷うことが多い」訪問看護師の1ヶ月間の流れについて説明をします。
今回の内容は訪問看護を開設してすぐの方や訪問看護へ就職したばかりの方へ向けて説明していきます。
私は訪問看護事業所で管理者をしながら、訪問看護師として5年以上勤務しています。
訪問看護の1ヶ月の流れは慣れてしまえば毎月同じ流れで進んでいきますので迷うことはありませんが、慣れるまでは「次は何をすればよかったかな?」と迷うことがあります。
迷った時に何か参考になるものがあれば確認もできるし、迷うことも減ります。
訪問看護の1ヶ月の流れについて参考にしてください。
【訪問看護業務】1ヶ月の流れ
訪問看護事業所の1ヶ月の流れについて説明します。
訪問看護事業所の流れについては、役割や立場によって違います。
役割や立場が違っても流れを知っておくことが業務をスムーズに行うためには必要です。
月初
- 介護保険の提供票・別表(実績)を確認する(提供時間や日数、加算など)
- 居宅介護支援事業所や包括支援センターに提供票・別表(実績)を提出
- 医療保険も同様に提供実績の確認
- 介護保険・医療保険請求の提出準備
- 訪問看護報告書、訪問看護計画書の確認。提出の準備
- 今月末までに指示期間が終了する指示書の継続依頼作成
月末
- 報告書、計画書の作成
- 自立支援医療、指定難病など限度額管理が必要な利用者の限度額の確認
- 医療券、介護券の確認
このような流れになるのではないでしょうか。
月の中頃に関しては各事業所で委員会を開催したり、内部研修をしたりと事業所ごとの行事を行なっています。
流れとしては月初から書きましたが説明は月末からの方がわかりやすいので月末から説明をするようにします。
【訪問看護】月末の業務
月末の業務としては、
「報告書や計画書の作成」
「自立支援医療や指定難病などの自己負担限度額の確認」
「医療券や介護券の確認」があります。
訪問看護報告書や訪問看護計画書の作成
訪問看護報告書と訪問看護計画書は毎月、主治医やケアマネ、支援員へ提出するものになります。
訪問看護報告書は毎月の状態を記入し、訪問看護計画書は看護計画の評価や計画の見直しをおこないます。
訪問看護報告書と訪問看護計画書の内容が重複するようであれば、どちらかのみの記入で良いとなっていますので、訪問看護計画書の評価に書いたことは訪問看護報告書には記入しないようにしましょう。
記入方法については、基本的には様式に沿って記入をするようになります。
訪問看護報告書の内容について以下になります。
- 病状の経過
- 看護リハビリテーションの内容
- 家庭での療養・介護の状況
- 衛生材料関係
主には病状の経過と看護やリハビリテーションの内容の記入に時間がかかります。
リハビリで訪問している利用者に関しては別添としてリハビリ内容を詳しく記入した報告書も必要になります。
事業所それぞれで記入方法があると思いますし、提出を月末にしていない事業所もあるようです。提出は月に1回と決まっているので月末にこだわらなくても良いです。
自己負担上限額管理票の確認
自己負担上限額管理票の確認は訪問とは直接関係ありません。
自己負担上限額管理票の確認が必要な理由は、確認をしておかないと請求業務ができないからです。
特定医療費(指定難病)や自立支援医療についての説明は以前の記事で書いていますので興味がある方は読んでみてください。
訪問看護の請求は1番最後にまとめて月末に請求をするようになりますので他の医療機関で請求している金額がわからないと請求ができません。
そのため月末には必ず、特定医療費や自立支援医療を使用している方の自己負担上限額管理票を確認するようにしてください。
ちなみに看護療養費の請求は10日までに行うようになります
10日を過ぎると請求ができません。
請求後は月末の日付で事業所名と請求額、合計額を記入するようになります。
請求額の記入は少しくらい遅くなっても大丈夫ですが、時々、医療機関も記入漏れがあり、訪問看護が記入していないと追加で記入して、訪問看護の請求額が変わることがあります。
そのリスクを避けるためには月が変わったら早めに記入をしておくことをお勧めします。
医療券、介護券の確認
多少の地域差はありますが、月末までに必要な利用者に関しては医療券や介護券が送られてきます。
送られてくると言っても勝手に送られてくるわけではなく、医療保険であれば、本人や家族などの申請が必要です。介護保険であれば、ケアマネが提供票を市役所へ提出することで送られてきます。特に医療保険の場合は申請ができているかの確認はしておいた方が良いです。
券という言い方なのでどのようなものが送られてくるのかと思いますが、送られてくるのは用紙です。
内容としては名前、診療月、受給者番号、サービスの種別などが記入してあります。
ただの用紙ですが医療券や介護券がないと請求ができませんので大切なものになります。
私の地域では20日頃に送られてきます。
医療券ついては、6ヶ月に1回、主治医から市役所へ要否意見書を提出するようになります。要否意見書の提出が遅れると医療券が来ないことがあります。医師は忙しいので少し遅れることがあっても仕方のないことと考えて待ちましょう。
不安であれば、市役所に確認をすれば親切に教えてくれますので問い合わせをしてみてください。
医療券や介護券を受け取ったら受け取ったことがわかるように受領書を直接、または郵送で提出するようになります。
【訪問看護】月初の業務
月初の業務を再度上げておきます。
- 介護保険の提供票・別表(実績)を確認する。(提供時間や日数、加算など)
- 居宅介護支援事業所や包括支援センターに提供票・別表(実績)を提出。
- 医療保険も同様に提供実績の確認。
- 介護保険・医療保険の保険請求の提出準備。
- 報告書、計画書の確認。提出の準備。
- 今月末までに指示期間が満了する指示書の継続依頼作成。
それぞれ必ず必要な業務になりますので説明をしていきます
介護保険の提供票・別表(実績)を確認し、提出
介護保険の提供票・別表ですがよく実績という呼び方で呼ばれているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。
実際の内容としてはケアマネが作成してくれた、提供予定に対して、訪問看護でのサービス提供がどのような曜日にどのような時間で提供されたのかを書いて提出するようになります。別表には訪問の単位数と加算の単位数を記入し、訪問看護でどれくらいの単位数を使ったかを記入して提出するようになります。
提供票と別表の提出が必要な理由については、介護保険における訪問看護の請求は訪問看護から国保連に提出される介護給付の請求とケアマネが提出する給付管理が合わないと支払いがされないという仕組みになっています。それによりチェック機能が働くような仕組みになっています。
緊急で訪問した場合や提供時間の変更があった場合にはケアマネに伝えておかないと、訪問看護で請求してもケアマネの給付管理と単位数が合わないと差額分は支給されないということになります。
ケアマネと書いていますが、要支援の場合は包括支援センターへの提出になります。
どんなに遅くても4日か5日までには提出をしないとケアマネが困りますので忘れないように提出が必要です。
医療保険も同様に提供確認
介護保険ではケアマネの給付管理と合わせる必要があることを説明しましたが、医療保険ではそのような作業はありません。しかし、医療保険でも訪問看護療法費の請求をしなければいけません。
訪問看護療養費を請求する際に間違った単位数を請求すれば、場合によっては少なく請求することになり、事業所の売上が減ることになりますし、多く請求してしまうと気がついた時の処理が大変になりますので、できるだけ正しい請求を行うようにします。
確認の内容としては、訪問した回数や時間の確認、加算の確認。それ以外に介護保険との違いに関しては国民健康保険なのか社会保険なのか、公費の使用はあるのか、公費の負担上限額の確認、保険の負担上限額の確認、後期高齢者の場合は特記の記入が必要、精神科はGAF判定の記入があるか、介護保険との併用があるか、他の事業所と一緒に入っているかなど確認はたくさんあります。
そのどれかの記載がないだけで返戻になり、報酬の支払いはありませんので注意が必要です。
この訪問看護療養費を請求する際に負担上限額管理票で確認した、金額が必要になります。そのため、月末から月初にかけてできるだけ早い段階で負担上限額管理票の確認をしておかないと請求業務ができなくなります
介護保険・医療保険の保険請求の提出準備
介護保険も医療保険も提供確認が終われば、今度は提出できる形にして提出をするようになります。
私の事業所は記録ソフトを使用していますので、ボタンひとつで用紙がプリントアウトできます。最近ではあまりないとは思いますが、いまだに記録や提供票を手書きで書いている事業所もあるようです。
ソフトを導入すると初期投資、もしくは月額使用料がかかりますが手間を考えると費用に対する効果は十分にありますので、これから始めるのであれば、ソフトを使用しないという選択肢はないです。
介護保険請求については伝送
伝送ソフトも記録ソフトに一緒についている場合がほとんどです。ソフト会社によってはオプションになっている場合もありますが、大きな金額ではありませんので伝送を使用することをお勧めします。
介護保険は国保連に提出するようになるのですが、伝送で請求する場合は国保連への申し込みなどが必要になります。それほど難しい作業ではありませんが、提出時に手続きをすると時間がかかった場合に提出できないということになりますので、事前に準備をしておく方が良いです。
伝送の準備方法については各都道府県の国保連ホームページに記載がありますので参照したり、電話で問い合わせをすると親切に教えてくれます。
医療保険については紙請求
医療保険については、訪問看護に関しては2022年現在は訪問看護療養費については紙請求になっています。一応、2024年にはオンライン請求になる予定になっています。
紙請求のため、一人一人の訪問看護療養費明細書をプリントアウトして、社会保険と国民健康保険に分けて、それぞれに郵送もしくは提出に行くという流れになります。
私は提供確認をしていますが、再度プリントアウト後にも確認をするようにしています。
社会保険と国民健康保険は提出先が違います。
社会保険は社会保険診療報酬支払基金に提出します。国民健康保険は国保連に提出するようになります。間違えて送付すると当然支払いはありませんので注意をしてください。
請求を提出できれば、とりあえずは2ヶ月後の収入はありますので安心です。
利用者の自己負担額の請求については、集金方法をどのようにするかによって違います。
初めのうちは件数も少ないので現金でも集金ができるかもしれませんが、利用者が増えてくると集金代行業者を利用する方がトラブルを回避したり、職員の負担が減るので良いです
報告書、計画書の確認。提出の準備
請求業務の後、もしくは人数がいるのであれば、並行して報告書や計画書の提出準備を行います。
作成は担当者がしてくれていますが、一応確認は必要になります。
誤字脱字はもちろんですが、計画内容と報告内容があっているか、必要な内容が書かれているのか、わかりやすい文章になっているかなどを見ています。
ダラダラ書くより、できるだけ簡潔に書く方が良いのですが、看護師は訪問をしているから分かることでも、主治医は家での状態が分からないので、場合によっては説明を省略して書いてしまうと何について書いているのか分からなくなってしまいます。分からない人にもわかるように書くことが大切です。
担当者ではなく、普段訪問をしていない管理者が確認をすることにより説明が省略され過ぎていないか気がつけることもあります。
提出の準備については、以前は、営業も兼ねて直接も手渡ししていましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で直接伺うと嫌がられることも多いです。
現在は直接伺わず、郵送で対応している事業所が多いようです。
今月末までに指示期間が終了する指示書の継続依頼
指示書は最長で6ヶ月の指示期間になりますので定期的に依頼をします。
私の事業所では月末に指示期間が終了する場合、月初には指示書依頼書を送付するようにしています。
医療機関によって、指示書の記載までに3週間程度の期間が必要な医療機関もありますので、時間に余裕を持って、依頼するようにしています。
余裕を持って、指示の依頼をしていても指示開始日に指示書がこない場合にはFAXなどを依頼し、指示書を確認してから訪問を開始するようにしてください。
指示書を確認せずに訪問して、指示内容ができていないことや、指示していないことをしては後々問題になります。注意が必要です。
指示書の依頼方法や指示書の確認点については以前の記事で説明をしていますので参考にしてください。
指示書の期間が終了していることに気が付かず、訪問している場合はせっかく訪問していても請求ができないということになります。
指示期間の確認はくれぐれも注意をしてください。
まとめ
今回は訪問看護事業所での1ヶ月の流れについて説明しました。
訪問看護の流れは事業所ごとに多少の違いはありますが大体このような流れになっているのではないでしょうか。
何度も繰り返していけば習慣にもなってきますので困ることも無くなりますが、初めのうちは忘れることもあります。
忘れる内容によっては訪問ができないような大変なことになることもあります。
訪問ができないようなことにならないように、ぜひ、今回の記事を参考にしてもらいながら、きちんと訪問できる環境を作ってもらえれば嬉しいです。
今回もありがとうございました。