今回は訪問看護に関係する加算の勉強をしよう。
訪問看護に就職したばかりの方に向けて加算の勉強をしていきます。
今回は訪問看護を利用する前のカンファレンスに関わる加算から勉強していくことにします。
訪問看護を利用する前の情報共有と指導を行うことにより算定できる加算の退院時共同指導加算についてです。
それでは退院時共同指導加算について説明をしていきます。
【訪問看護】退院時共同指導加算とは
退院時共同指導加算とは、「主治医の所属する保険医療機関または介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院、入所中の利用者または家族に対して、主治医または施設職員とともに、看護師(准看護師を除く)が療養上の指導を行った場合に、1回に限り、最初の指定訪問看護の実施時に算定する。」と説明されています。
簡単に言うと退院時共同指導加算を算定するには、「退院前(医療機関)や退所前(老健)に本人や家族へ主治医や入院先(入所先)の職員と共に自宅へ帰ってからの生活についての指導をする。」ことが必要ということです。
対象の機関としては、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院になります。
退院前の指導と書いていますが、一般的には退院前カンファレンスで行うことが多いです。
退院前カンファレンスとは
退院前カンファレンスとは、現在入院中で退院予定の方が、入院生活から在宅生活への移行をスムーズに行うため、入院時の状態共有と退院後の生活やサービスについての確認と情報共有を行うための会議になります。
参加者については下記の通りです。
- 入院中の主治医、相談員、看護師、リハビリ担当スタッフ(PT、OT、STなど)
- 退院してからの主治医
- 各サービス(居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、通所リハビリ、福祉用具、訪問看護など)
- 本人、家族
などで行われます。
内容についても書いておきます。
- 自己紹介
- 主治医から現在の病状についての説明
- 病棟看護師から現在の生活状況についての説明
- 入院中のリハビリスタッフから歩行や動作、嚥下などについての説明。
- 在宅医や在宅関係者からの質問
- 本人や家族からの質問や希望の確認
退院前カンファレンスの中で本人や家族へ自宅へ帰った後の生活について指導をします。
より詳しい確認点などについては以前の記事で書いていますので参考にしてください。
退院時共同指導加算の金額または単位数は?
退院時共同指導加算は医療保険でも介護保険でも算定できます。
それぞれの金額と単位数について
医療保険 8,000円
介護保険 600単位(6,000円) ※介護保険については地域によって金額が変わります。
利用者負担金額については、負担割合によって違いますので負担割合を確認後伝えるようにしてください。
同じ会議をするのに医療保険と介護保険で金額が違います。
訪問看護では、保険によって金額が違うことがありますので注意が必要です。
医療保険でも介護保険でも、1回の会議で算定できる訪問看護事業所は1事業所のみになっています。
複数の訪問看護事業所が関わる場合は医療保険であれば、どちらかが退院時共同指導加算を算定して、どちらかは算定しないようになります。
介護保険の場合はどちらかが退院時共同指導加算を算定して、もう一方は初回加算を算定するようになります。
2事業所関わる場合は保険によって、退院時共同指導加算を算定しない方の対応が変わりますので注意をしてください。
退院時共同指導加算を算定する際の注意点
退院時共同指導加算を算定するには、利用者または家族へ文書で提供する必要があります。会議に参加したのでそれで良いということではありません。文書で説明したことがわかるように指導内容を看護記録に残しておくか、指導文書に同意のサインをもらい、保管しておくようにしましょう。
その他、注意点としては、退院時共同指導加算を算定するのに、24時間対応体制加算の有無や特別管理加算の有無は関係ありません。
指導を行ったのが准看護師の場合は算定ができませんので退院前カンファレンスには看護師が参加するようにしましょう。
指導を実施した場合は、退院後1回目の訪問時に加算として算定するようになるのですが、指導後退院が延期になり、翌月に退院できず、翌々月になった場合は算定ができませんので注意が必要です。
基本的には月に1回限りの算定になりますが、「特別な管理」が必要な利用者については、複数日に指導を実施した場合は2回に限り算定することができます。
「特別な管理」が必要な利用について説明をしておきます。
特別な管理が必要な利用者
特別な管理が必要な利用者とは、「別表8の各号に掲げる利用者」になります。
別表8の各号に掲げる利用者ついて書いておきます。
別表8の各号に掲げる利用者
- 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
- 在宅気管切開患者指導管理
- 気管カニューレの使用
- 留置カテーテルの使用
- 在宅自己腹膜灌流指導管理
- 在宅血液透析指導管理
- 在宅酸素療法指導管理
- 在宅中心静脈栄養法指導管理
- 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
- 在宅自己導尿指導管理
- 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
- 在宅自己疼痛管理指導管理
- 在宅肺高血圧症患者指導管理
- 人工肛門、人工膀胱の設置
- 真皮を越える褥瘡
- 週3日以上の点滴注射
以上になります。
医療保険では特別な管理が必要な者に対して退院時共同指導を行った場合に他にも算定できる加算があります。
「特別管理指導加算」です。
特別指導管理加算とは
特別指導加算とは、「退院後に特別な管理が必要な者(別表8の各号に掲げる利用者)に対しいて、退院時共同指導を行った場合に、退院時共同指導に追加して加算される」とあります。
この加算は「医療保険のみ」になりますので、医療保険の場合は忘れずに算定をしてください。
医療保険のみ 2,000円
利用者負担金額については、負担割合によって違いますので負担割合を確認後伝えるようにしてください。
まとめ
今回は退院時共同指導加算について説明をしました。
参考書などを読んで、すでに知っているという方もいると思いますが参考書にはない細かい注意点もありますので参考にしてください。
現在は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、退院前カンファレンスの頻度は減りましたが、感染が落ち着けば比較的頻回にカンファレンスは開催されます。
算定もれがないようにしていきましょう。
それでは今回もお疲れ様でした。