訪問看護の勉強

訪問看護指示書について勉強しよう

今回は訪問看護を実施していると必ず関わることがある、訪問看護指示書について勉強をしましょう。

日々の業務の中で訪問看護指示書に関わる頻度はかなり多いです。
一言で訪問看護指示書といっても色々な種類や決まりがあります。

先日も訪問看護指示書で分からないことがあり、厚生局などに確認をしました。

分からないことが理解できた時には少しずつ、このブログで共有していきます。

それでは訪問看護指示書について説明していきます。

訪問看護指示書とは?

訪問看護指示書とは、訪問看護ステーションなど指定訪問看護事業者が利用者に対して訪問看護を提供する際に、主治の医師(主治医)から指示を受けるために交付してもらう文書を指します。

訪問看護はその利用者の状態や疾患によって、介護保険や医療保険での利用が可能ですが、どちらで訪問を行う場合も訪問看護指示書は必要になります。

介護保険と医療保険のどちらを利用するかについては以前の記事で説明しているので参考にしてください。

訪問看護指示書の種類について

訪問看護指示書にもいくつか種類があります。

  • 訪問看護指示書
  • 特別訪問看護指示書
  • 精神科訪問看護指示書
  • 精神科特別訪問看護指示書
  • 在宅患者訪問点滴注射指示書

このように訪問看護指示書にも色々な種類があります。それぞれの指示書について説明をしていきます。

訪問看護指示書

訪問看護指示書は、主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。
訪問看護の指示内容や利用者の状況により、介護保険での訪問看護になるのか、医療保険での訪問看護になるのか分かれます。
医師であれば指示書を交付することはできますが、歯科医師は訪問看護指示書の交付はできません。また精神科医からの指示に関しては精神科訪問看護指示書になります。

特別訪問看護指示書

特別訪問看護指示書は、症状の急性増悪や退院直後に主治医の判断で「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に交付されます。有効期限は最大14日です。
人工呼吸器を使用している場合や真皮以上の褥瘡がある場合にも交付されることがあります。基本的には週4日以上の訪問看護が必要になりますが、状態が改善した場合など必ずしも週に4日以上の訪問が必要ではありません。
基本的には月に1回しか交付できないようになっていますが、人工呼吸器を使用している場合や真皮以上の褥瘡がある場合には月に2回以上交付することが可能です。
急性増悪などで特別指示書が交付される場合には先生が診察をした日からの指示(交付)になりますので注意が必要です。
特別訪問看護指示書のみでは訪問看護の実施はできません。
特別訪問看護指示書は訪問看護にプラスして出してもらう必要があります。
先生の中にはこの部分を理解しておらず、特別訪問看護指示書だけを交付する先生もいますので、そのような場合には訪問看護指示書も交付してもらうようにお願いしましょう。
特別訪問看護指示期間は医療保険での訪問になります。

精神科訪問看護指示書

精神科訪問看護指示書は、精神科の主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。精神科を担当する医師に限り交付が可能ですので、すべての医師が書けるわけではありません。精神科用の訪問看護指示書になりますので記載される内容についても訪問看護指示書と違います。訪問看護指示書と合わせて交付はされません。
精神科訪問看護指示書での訪問看護については、医療保険での訪問看護になります
介護保険の認定を受けている利用者であっても医療保険での訪問看護になりますので注意が必要です。

精神科特別訪問看護指示書

精神科特別訪問看護指示書も、基本的には特別訪問看護指示書と変わりません。服薬によって体調が悪化した場合等、主治医が「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に交付されます。ただし、特別訪問看護指示書のような、条件により月2回の交付はありませんので注意してください

在宅患者訪問点滴注射指示書

在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3回以上の点滴治療が必要と認められる場合、医師は交付しなければなりません。利用者1人につき週1回の交付になりますが、月に何度も交付可能です。有効期限も最大7日のため、必要なら毎日、点滴の指示が出されます。
訪問看護指示書や特別訪問看護指示書と一緒に指示が出る場合には、同じ用紙に記入も可能ですが、指示期間の上限が7日しかありませんので8日以上の指示が出る場合には8日目からの指示を別でもらう必要があります。

よく間違えるところとして、週に2日以内の指示の場合は指示をもらう必要がないと勘違いされている場合もありますが、在宅患者訪問点滴注射指示書としての指示は必要ありませんが、訪問看護指示書に2日以内の点滴注射指示内容を記載してもらう必要がありますので、結局はどちらかの指示書を交付してもらう必要になります。

点滴以外の指示の場合は、在宅患者訪問点滴注射指示書ではなく、訪問看護指示書に注射の内容を記載してもらうようになりますので忘れないようにしましょう。

訪問看護指示書の指示期間について

それぞれの訪問看護指示書によって指示期間が決まっていますのでまとめておきます。

訪問看護指示書

指示期間は最長6ヶ月。指示期間の記載がない場合の指示期間は1ヶ月になります。

特別訪問看護指示書

指示期間は最長14日。基本的には月に1回のみの交付になります。月を跨ぐ場合はその月に交付されていなければ、交付可能です。
気管カニューレを使用している場合や真皮を越える褥瘡がある場合には月に2回までは交付可能です。

精神科訪問看護指示書

指示期間は最長6ヶ月。指示期間の記載がない場合の指示期間は1ヶ月になります。

精神科特別訪問看護指示書

指示期間は最長14日。基本的には月に1回のみの交付になります。月を跨ぐ場合はその月に交付されていなければ、交付可能です。
特別訪問看護指示書のように月に2回の交付はできません。

訪問看護指示書の内容について

訪問看護指示書の様式については、各自治体や厚生局などの機関より入手することが可能ですが、決まった様式があるわけではないので、医療機関によって様式が違う場合もあります。

訪問看護指示書に必ず入っている内容をまとめておきます。

  • 指示期間
  • 利用者の基本情報(氏名、住所、生年月日、連絡先など)
  • 主たる病名
  • 現在の状況(病状、内服薬)
  • 現在の状況
    日常生活自立度(寝たきり度、認知症の状況)
    要介護認定の状況(介護度)
    褥瘡の深さ
  • 装着・使用医療機器等
  • 留意事項及び指示事項
  • 緊急時・不在時の連絡先等
  • 他の訪問看護ステーションへの指示
  • たん吸引等実施のための訪問介護事業所への指示
  • 医療機関名(医師名)・依頼先(訪問看護ステーション名)

このような内容についての記載があるはずですので記載のない場合は確認をして、記載をしてもらうようにしましょう。

訪問看護指示内容確認時の注意点

訪問看護指示書を交付してもらい、確認をする際の注意点として何点かあげておきます。

  • 訪問看護指示期間が6ヶ月以上になっていないか。
  • 訪問看護指示書記載日が指示開始日より後になっていないか。
  • 住所が訪問先の住所になっているか。
  • リハビリ実施予定になっていないのにリハビリの指示が出ていないか。またはその反対。
  • 精神科訪問看護指示書の病名が認知症のみになっていないか。
  • 依頼先の訪問看護ステーション名が間違っていないか。

確認する際に上記については最低でも確認をしておいた方が良いです。

訪問看護指示期間について、6ヶ月を超過して記載している場合がありますので注意しましょう。記載がない場合は1ヶ月の指示期間になります。

本当はいけませんが医療機関によっては、主治医の医師が非常勤で指示書の交付が遅れる医療機関もあります。その場合、訪問看護指示書記載日が指示開始日より後になっていることがあります。訪問看護指示開始日より記載日が前か、同じ日でないといけないので注意が必要です。
また、急性増悪などで特別訪問看護指示書が交付される場合は医師の診察日からの指示が出ているかについての確認は必要です。

訪問看護は指示書に記載されている住所への訪問しかできないようになっています。そのため、訪問看護指示書の住所が訪問先と違う住所になっていると訪問できません。その場合は再度記載をお願いしましょう。

訪問看護師の代わりにリハビリ職員が訪問する場合、訪問する職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)と頻度と時間の記載が必要になります。
リハビリの訪問予定がない場合はこの部分の記載をしてもらわないようにしましょう。
看護師が機能訓練を行う場合もこの部分の記載は必要ありませ。
リハビリの指示が出ている場合、介護保険の場合はケアマネジャーが作成するケアプランにもリハビリの記載が必要になりますので、ケアマネジャーにも伝え、ケアプランに記載してもらうようにしましょう。

精神科訪問看護指示書についてですが、認知症では訪問をすることができません。認知症の場合は訪問看護指示書に記載してもらい、介護保険で訪問するようになります。

複数の訪問看護ステーションを利用している場合、ステーション名を間違って記載している場合があります。その場合は指示先が違いますので無効になります。指示書の記載内容について訂正してもらうようにしましょう。

訪問看護に関する特殊なケース

訪問看護指示書についての特殊なケースについて説明をしていきます。

1人の利用者に対して、主治医は1人

複数の訪問看護を利用している場合でも、1人の利用者に対して主治医は1人になります。
それぞれの訪問看護で指示書の依頼をするようになります。利用を開始した時期が違う場合は指示をもらうタイミングがそれぞれで違うようになります。
途中で主治医を変更した場合は、複数の事業所も一緒に主治医を変更するようになりますので注意をしてください。

看護とリハビリのステーションが違う場合の特別訪問看護指示書

介護保険で看護とリハビリを違うステーションで利用していた場合、体調が悪化して看護利用のステーションに特別訪問看護指示書が交付された場合は、看護利用のステーションは一時的に医療保険になります。介護保険と医療保険の併用はできませんのでこの場合は一時的にリハビリをお休みするようになります。
どうしてもリハビリが必要な場合に関しては1人の主治医から2ヶ所まで特別指示書を同時に出すことができますので主治医に相談してください。

特別訪問看護指示期間中に状態改善した場合

特別訪問看護指示期間中は医療保険になります。
その期間中に状態が改善した場合は、14日間は医療保険で訪問するか、先生に指示の変更をお願いするかになります。特別指示書の期間中に勝手に状態が改善したから介護保険での訪問に変更するようなことはしないようにしましょう。
特別訪問看護指示期間中は週に4日以上訪問しないといけないと思っている方がいますが、状態改善などで頻回な訪問が必要なくなった場合には、必ずしも週に4回以上の訪問をしないといけないということはありません。週に4回以上の訪問をしない場合であっても特別訪問看護指示期間中は医療保険での訪問になります。

まとめ

今回は訪問看護について勉強しました。

訪問看護指示書の種類や特徴、注意点などについて勉強しました。

関わる頻度はかなり多いですが、それでも分からないことが時々は出てきます。
医療機関側も訪問看護指示書については分からないことが多いようで、確認を頂くことがあります。
そのような時にはすぐに返答できるのが良いですが、適当なことは言えませんので事前に訪問看護指示書について、しっかり勉強しておく必要があります。

看護師は医師の指示のもとに看護を行います。そのため医師の指示を記載してある訪問看護指示書は訪問看護師にとってとても大切なものになります。

訪問看護指示書が交付されたときに迷わないよう、事前の準備の一つとして今回の記事を参考にしてください。

今回もありがとうございました。